AI活用による薬品注入量の最適化および注入の自動化

  • ユーザー業種
    浄水場
  • 言語・要素
    PHP(Laravel)※1、C#※2、Python※3、電子工作
  • 従業員規模
    非公開
  • 開発期間
    1年8カ月

事例のポイント

こちらの事業所様では、浄水場の水質管理を作業員の手入力や経験・勘に頼って実施していたため、人的ミスや薬品注入量の予測にばらつきが生じるという課題を抱えていました。 そこで、計測器による水質データを自動で収集し、そのデータをもとにAIが最適な薬品注入量を予測し、注入機を自動制御するシステムを構築しました。 これにより、薬品注入の自動化の可能性を実証するとともに、作業員の負担軽減や、より迅速かつ正確な水質管理の実現につながりました。

課題・背景

静岡県のF浄水場では、手入力による水質データ管理や、作業員の経験と勘に基づく薬品注入の予測・実行に依存した水質管理が行われていました。しかし、この方法では、データ入力ミスのリスクや、注入量の予測にばらつきが生じる可能性があり、 特に水質は気象条件や周辺環境などの外的要因によって常に変化するため、迅速かつ正確な対応が求められていました。

また、作業員の負担も大きく、人手不足が深刻化する中で、将来的に水質管理の自動化を図りたいというニーズが高まっていました。

提案

当社は、これらの課題を解決するため、以下の提案を行いました。
① 計測から薬品注入までの自動化
 水質計測器から自動でデータを収集し、AIが薬品注入量の予測と薬品注入機の制御を行うことで、正確かつ効率的な水質管理を実現する。

② データ収集の自動化
 小型コンピュータ※4を活用して計測器とシステムを連携させ、リアルタイムで自動的にデータを収集することで、手入力ミスを防止し、作業効率を向上させる。

③ AIによる薬品注入量の予測
 収集した水質データをもとにAIが薬品注入量を予測することで、作業員の経験や勘への依存を排除し、より正確で安定した薬品注入を実現する。

④ システムによる薬品注入機の制御
 AIの予測結果に基づいて薬品注入機を自動制御することで、最適量の薬品を効率よく注入し、薬品の無駄を削減してコストの低減に貢献する。

⑤ 試行結果の追跡と分析
 AIの予測データや実際の薬品注入量をシステムに記録・保存することで、試行結果を追跡・分析し、システムの有効性を検証しながら、継続的に改善する体制を整える。

開発の進め方

開発は以下のステップで進めました。
① 小型コンピュータの選定とプログラミング
 小型コンピュータの性能を最大限に活かすプログラミングを行い、計測器との安定的な連携を確保しました。

② データ収集システムの構築
 計測器から自動的にデータを収集し、システムへ送信する機能を実装しました。

③ AI学習モデルの作成
 収集した過去の水質データをもとにAIが学習を行い、薬品注入量を予測するモデルを作成しました。

④ システム画面の設計
 過去の注入データとの比較や予測結果を分かりやすく表示する画面を設計しました。

⑤ テスト注入機の制御
 AIの予測データに基づいてテスト注入機を制御し、自動薬品注入の検証を行いました。

⑥ システムの統合とテスト
 すべての機能を統合し、実際の環境においてテストを行い、システムの安定性を確認しました。

また、開発プロセスにおいては、以下の点に特に留意しました。
① システムの安定性
 24時間365日稼働する浄水場の特性を踏まえ、システムの安定性を最優先で確保しました。

② データセキュリティ対策
 水質データは重要な情報であるため、適切なセキュリティ対策を講じ、情報漏洩の防止に努めました。

③ ユーザビリティ
 現場の作業員の方が直感的かつ効率的に利用できるよう、分かりやすく操作性の高いインターフェースを設計しました。

結果

今回のシステム開発により、以下の成果を実現しました。
① 自動化の可能性の検証
 薬品注入の自動化が技術的に可能であることを示すことができ、現場への本格的な導入に向けた具体的な検討が始まりました。

② 作業員の負担軽減
 従来の手入力や薬品注入量の予測などの作業負担が軽減され、作業員がより付加価値の高い業務に集中できる環境を整えることができました。

③ コスト削減
 AIの活用により薬品注入量の最適化が実現でき、薬品の無駄な使用を削減することで、コスト低減に繋がる見込みが得られました。

④ リアルタイムでのデータ分析
 水質データをリアルタイムに収集・分析する環境が整い、迅速かつ正確な水質管理の実現に貢献しました。

なお、試行結果が良好であったことから、今後は浄水場全体への自動化システム導入に向けた準備を進めていく予定です。

用語の補足

※1 PHP(Laravel):Webアプリケーション開発に使われるプログラミング言語「PHP」と、その代表的なフレームワーク「Laravel」を指します。Webサイトやシステムを効率的に構築できます。
※2 C#:マイクロソフトが開発したオブジェクト指向型のプログラミング言語で、Windows向けのアプリケーションやWebアプリケーションの開発に広く利用されています。
※3 Python:汎用性の高いプログラミング言語で、Web開発はもちろん、AI・機械学習・データ分析など幅広い分野で活用されています。
※4 小型コンピュータ:Raspberry Piなどの小型コンピュータを指し、IoTデバイスの制御やセンサーデータの収集などに活用されます。

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