マテリアルハンドリング機器メーカーの株式会社キトー様では、海外の販売会社からメールやFAXで受け取った注文内容を営業担当者が基幹システムに手入力していたため、処理に時間がかかっていました。また、すでに販売終了した製品の補給部品の注文が入ることもあり、在庫の有無や互換品の確認に手間がかかっていました。
さらに、営業部門と製造部門の間で在庫調整が必要な場合には、Excelを用いた手作業で対応していたため、業務効率の改善が課題となっていました。
これらの課題は、受注業務の効率化を妨げるボトルネックとなっており、特に受注件数が増加している状況においては、早急な対応が求められていました。
当社は、これらの課題を解決するため、営業部門と製造部門が共同で利用する受注システムの構築を提案しました。このシステムは、基幹システムとの連携を前提とし、受注業務のデジタル化を目指しました 。具体的な機能は以下のとおりです。
①共通フォーマットによる受注オーダー
全ての受注オーダーを共通のフォーマットで入力し、メールで送信することにより、入力の手間を減らし、データの統一性を確保する。
②データチェックと自動変換
受注データから商品の取り扱い状況を自動でチェックし、取り扱いのない場合に互換品への自動変換まで行うことにより、入力ミスを減らし、担当者の負担を軽減する。
③在庫調整と出荷月自動設定
基幹システムから在庫調整データを取得し、月別の出荷可能数を判断して出荷月を自動設定することにより、在庫調整の手間を省き、正確な出荷計画を立てられるようにする。
④基幹システムとの連携
受注データを基幹システムへ自動で連携し、結果を反映することにより、データの二重入力を防ぎ、業務効率を向上させる。
さらに、当プロジェクトを進めるうえで、システム規模が大きく開発に時間と費用がかかること、営業部門の担当者が多忙でシステム化の打ち合わせに十分に対応できないことが懸念事項として挙げられたため、段階的な開発と検証を行うアジャイル開発方式を提案しました。
開発は以下のステップで進めました。
①現行業務の調査分析
現行の手作業での業務手順や確認内容をヒアリングし、どの業務に時間がかかっているのか、他部門との調整が必要なのか等を明確にしました。
②システム化要件の確認
①の調査分析結果をもとに、業務効率化、機能間連携等を実現するために必要な、システムの機能要件を具体的かつ詳細に定義しました。
③システム化方式の選択
業務効率化が図れること、システム開発でやり取りいただくご担当者の負荷を抑えることを重視して、アジャイル開発方式を採用しました。各機能のうち根幹となる機能から段階的に開発し、都度フィードバックを行うサイクルを繰り返すことで、細部の機能との整合性や機能間でのデータの流れをより具体的に想定しながら次の段階の開発を進めることが可能となりました。
アジャイル開発方式を採用し、各段階でクライアントの意見を取り入れながら開発を進め、以下の成果を実現しました。
①システムリリースの短縮化
大枠の要件をプロジェクト全体で捉えつつ、個別要件を各ステップに分けて進めることで、要件の確認からリリースまでの時間を短縮しました 。
②システムの安定稼働
各ステップで作成された機能をシステム要件と照らし合わせながら再検討することにより、次のステップで作成する機能に必要なシステム要件が明確になり、最終リリース時には当初想定した要件以上の機能を網羅することができました 。これにより、システム全体の安定性が向上しました 。
③リソース不足の解消
ステップごとに絞られた機能について検討いただくことで、クライアントの営業部門の負荷を抑えた進行でプロジェクトを遂行することができました。
④業務効率の大幅な改善
当システムを導入した結果、海外販売会社からのオーダー受付で行っていた手作業での入力時間(400時間/月)を8割削減することに成功しました 。
⑤労働環境の改善
手入力業務が8割削減されたことにより、残業時間が減少し、従業員の労働環境の改善にもつながりました。
※1 AWS(Amazon Web Services):Amazonが提供するクラウドコンピューティングサービスです。サーバー、データベース、ストレージなどのITリソースをインターネット経由で利用可能であり、柔軟性と拡張性に優れた運用が可能です。
※2 Java:汎用性の高いプログラミング言語です。Webアプリケーションやエンタープライズシステムの開発において広く利用されており、安定した動作と豊富な開発資産が特長です。
※3 Vue.js + Spring Boot:Vue.jsはユーザーインターフェースを構築するための技術であり、Spring Bootはデータ処理や業務ロジックを担当するサーバー側の仕組みです。両者を組み合わせることで、画面と内部処理を分離して効率的なWebシステム開発が可能となります。
※4 基幹システム:企業の中核となる業務を支えるシステムです。販売管理、生産管理、会計システムなどが該当します。
※5 アジャイル開発:計画、設計、実装、テストといった開発プロセスを短いサイクルで繰り返す開発手法です。変化に柔軟に対応でき、顧客のフィードバックを反映しやすいのが特徴です。
お問い合わせはこちらから
課題やご要望を丁寧にお伺いし、最適なアプローチをご提案いたします。